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池浦 広美*; 関口 哲弘
Molecular Crystals and Liquid Crystals, 622(1), p.50 - 54, 2015/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Multidisciplinary)積層型有機電導性分子は分子エレクトロニクスへの応用として広く期待されている。もし有機半導体における伝導帯の電子構造の直接観測が行えれば、電導メカニズムの理解が飛躍的に進むと期待される。通常、伝導帯の状態密度の観測には、X線吸収分光(XAS)が用いられる。ここで内殻励起される元素の部分状態密度が観測される。しかしながら、XASでは空軌道の局在性・非局在性の情報を得ることはできない。本研究では、共鳴オージェ電子分光法(RAS)における正孔時計法を電子材料に応用する。非局在化軌道をもつ伝導帯をアト秒領域で高速移動する電子を観測する。本発表ではペンタセン誘導体材料に適用した例をあげ、電子伝導機構を議論する。
齋藤 彰範*; 辻 広美*; 下山 巖; 清水 研一*; 仁科 勇太*
Chemical Communications, 51(27), p.5883 - 5886, 2015/04
被引用回数:13 パーセンタイル:40.21(Chemistry, Multidisciplinary)白金などの触媒金属は微粒子化により使用量を低減化させる方法が一般的である。比表面積の大きい炭素材料はそのための担持材料として有望であり、酸化グラフェン(GO)上に白金微粒子を担持させる方法が検討されている。一方、金属微粒子を担持させる際に従来用いていた還元剤では酸化グラフェンの還元も併発し、グラフェンの凝集化も引き起こしてしまうという問題があった。そこで非常に温和な還元剤であるヒドロシランを用いてGO上に担時させる新しい触媒調整方法を試みた。得られた白金触媒はメタンの酸化反応において市販の炭素担持白金触媒よりも耐久性が数倍優れた材料となることを見いだした。得られた材料をX線吸収分光法(XAS)等で調べ、ヒドロシランに起因するシリカ層が形成されたことを明らかにした。この結果はGOがシリカコーティングされたことにより触媒の耐久性が向上したことを示唆している。表面反応ダイナミクス研究グループの下山は本研究においてKEK-PFのBL27A機構ビームラインを用いたXAS分析と分子軌道計算による解釈を担当した。この結果は白金触媒の長寿命化に対する画期的なイノベーションに繋がることが期待される。
馬場 祐治
no journal, ,
炭素のみから成る厚みが1原子層の「グラフェン」は、sp2結合を主体とした蜂の巣状の構造を持ち、優れた電子材料、光学材料として注目されている。ケイ素は、周期律表で炭素と同じIV族に属するが、極薄いケイ素の構造は炭素の場合と大きく異なり、sp3結合を主体としたダイヤモンド構造をとると考えられていた。ところが1990年代に、極薄い炭化ケイ素がグラフェンと同様の構造を持つことが理論的に示された。我々は放射光を用いたX線吸収分光法により、グラフェン状の構造を持つ炭化ケイ素の存在を実証した。一方、2010年代に、こんどはケイ素のみから成りグラフェン状の構造を持つ「シリセン」が存在するかどうかということが、理論的にも実験的にも大論争となった。この点に関し、我々は再度X線吸収分光法により極薄いケイ素の構造を調べた。その結果、ケイ素薄膜の一部がsp2結合を持つグラフェン状の構造をとることを明らかにした。
宮崎 康典; 石井 克典; 佐野 雄一; 樋川 智洋; 長坂 将成*; 井垣 翔*; 下條 竜夫*; 熊木 文俊*; 足立 純一*
no journal, ,
核燃料サイクルの確立には放射性廃棄物の適切な処理処分が不可欠である。使用済燃料にはUとPuの核分裂生成物だけではなく、中性子吸収で高次化したマイナーアクチノイド(MA: Am, Cm)が含まれ、その発熱量や長半減期は放射性廃棄物の地層処分に係る負担要因の1つに挙げられている。そのため、MAの選択的分離技術が重要な開発項目になっている。本研究では、MAを選択的に分離する抽出剤N,N,N',N',N'',N''-hexaoctylnitorilotriacetamide(HONTA)の凝集やコンディショニングにおける酸の影響を明らかにするため、軟X線吸収分光(XAS)実験を行い、量子化学計算と比較することで、酸との会合構造等を考察した。